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洗剤基礎の豆知識

洗剤の、豆知識をお伝えします。

洗剤とは

洗剤の主成分は界面活性剤です。

使われる界面活性剤の種類によって石鹸と合成洗剤に大きく分けられます。
「石鹸」の界面活性剤は動物性や植物性の油脂にアルカリを加えて作った、脂肪酸ナトリウムと脂肪酸カリウムがあります。
「合成洗剤」の界面活性剤は石油の他動物性、植物性の油脂から科学的に合成したものです。

合成洗剤とは

合成洗剤とは、洗浄の主たる作用が石鹸以外の界面活性剤によるもので、これは無機・有機の助剤性能向上剤を加えたものです。
これは家庭用品品質表示法により定められており、洗濯用、台所用、住宅、家具などがあります。
家庭用品品質表示法の製品区分には、合成洗剤の他に洗浄剤があり、これは洗浄の作用が酸・アルカリによるもので、トイレ用洗浄剤や家具用洗浄剤などがあります。  
第二次世界大戦以前の洗濯の主役は石鹸でした。戦後石油の成分から合成されたABS(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)がこれに勝る性能があり、しかも安定した供給ができることもあって、電気洗濯機の普及と共にその使用量が急激に増大しました。しかしABSは分解性がきわめて悪かったことから、1967年頃にLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)に切り換えられています。
このLASのほか、高級アルコール系やアルファオレフィンスルホン酸系等、動植物油脂や石油などを科学的に合成したものです。

界面活性剤(合成界面活性剤)

界面活性剤の分子はマッチの軸のような形をしている。一つの界面活性剤分子には、水になじみやすい「親水基」と反対側に油になじみやすい「親油基」と相反する性質の部分が共存しでいる。
活性剤分子は親油基を油に、親水基を水側に向けで油を取り囲み、水の中に油の小さな固まりを造り分散させる。

界面活性剤の種類

数千種類の界面活性剤は、水に溶かしたときの状態で4つに大別される。

・アニオン界面活性剤  (陰イオン系)
・カチオン界面活性剤  (陽イオン系)
・非イオン性界面活性剤 (非イオン系)
・両性界面活性剤

せっけんとは

広義には高級脂肪酸、樹脂酸、ナフテン酸などの金属塩の総称、狭義には脂肪酸のアルカリ金属塩をいい、それ以外の金属塩を金属石鹸という。
アルカリ金属塩は水溶液中で一部加水分解され、アルカリは陽イオンとして、脂肪酸の長鎖アルキル基は陰イオンとして溶液中に存在する。  
高い表面活性を示し、表面張力を降下させて安定な泡を生じ、強い洗浄力をもつ。硬水中では水に不溶の金属石鹸となって沈殿するのでこれらの効力が減殺される。臨海ミセル濃度以上では石鹸分子はミセルを形成し、コロイド溶液となる。硬水でも使用できるせっけんを硬水せっけんというが、現在では主に合成洗剤に代わられている。

植物が人体、環境にソフトか?

家庭で使われる洗剤は販売量からみると「せっけん」はわずかで、大半は「合成洗剤」である。

「合成洗剤」ではあるが、「ヤシの実洗剤」「植物原料」と言って「環境や手に優しい」イメージを持たせるものがある。しかし、これは石油合成の「合成洗剤」となんらかわりません。

洗剤の成分

1960年代には、石油系のABS(アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)が使われていたが、環境汚染や人体への影響が問題になり、生分解性が良いLAS(直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム)が主流になった。 その後、富栄養化が問題となり、無リン化が進み、アルコール系や非イオン系のものも使われるようになった。環境や手肌に優しいという消費者ニーズにこたえ、高級アルコール系が主流になってきた。
最近の洗剤には、脂肪酸系のものや、さらに新しい界面活性剤も登場し、LASは次第に使われなくなってきている。

洗剤の人体影響・環境影響(生分解性)

人体、特に皮膚に悪影響を与える原因は、主に、 ・ph水酸性に強く傾くか、アルカリに強く傾く場合 ・皮膚に強い刺激を与える場合 ・皮膚のタンパク質に異常を生じさせる場合 ・皮膚が油欠乏の状態で強い脱脂が行われた場合である。

微生物に分解されやすいのは、油等の汚れを微小に分散して、微生物がとりつきやすくした場合で、生物への毒性が少ない場合である。

1.環境にやさしいとは

環境に与える洗剤の影響の指標として、

  • 生分解性、・生物毒性、・使用量など幾つかの面から多角的に見る必要がある。
  • 使用量について、同じ汚れを落とすにも環境への負担を少なくするには使用量を滅らすことが望ましい。 「せっけん」の場合5gの汚れを落とすためには25gを必要とする。「合成洗剤」は5g以下で十分である。
  • 「せっけん」は安全性が高いといわれている。合成洗剤も、手への影響も含めて、より安全性の高いものへと変化してきている。
  • 生分解性については、薄めた洗剤が微生物によって無機物にまで分解される速度と割合が指標になる。

望ましいのは、できるだけ素早く100%近くまで分解して、無くなることである。

2.LASは生分解性が悪い

LAS使用洗剤では、分解率は初期60%、最終的には70%で、分解する速度が遅く最終的な分解率も悪い。 また植物性原料表示のある洗剤は、初期の分解率がやや低く分解する速度が遅い。   植物性原料表示のない銘柄でも、分解性のよいものもあり、原料との関係は明らかではない。 

3.「合成洗剤」の分解性は「せっけん」と大差ない

一般に「せっけん」に対して環境にやさしいイメージを持つ人が多い。
せっけんの分解性は確かに問題ない。 
しかし合成洗剤でもLASを除いて全般的に分解性が高い。(最終的90%以上)

4.洗浄力は界面活性剤の力だけではない

標準使用量に薄めた液に汚れを浸して界面活性剤の力を科学テストすると、LASを含む洗剤は洗浄力が強い。またPORE系も強い。いずれも植物性原料表示のない銘柄である。せっけんの洗浄力は、合成洗剤に比べると弱い。汚れは、ふつう洗剤をつけたスポンジなどでこすって落とすことが多いので、界面活性剤の力だけで洗浄力をみるのは実際的ではない。一般に使用感で洗浄力をみると、
・泡立ちがよい
・液に粘性がある
などスポンジに含まれた洗剤が少量でも有効に使われるものがよいといわれる傾向がある。

5.必要以上に洗剤が使われる

・使用量には人によって4倍から10倍の開きがる。
・洗浄力の目安を泡立ちで見る人が多く、泡立ちがなくなったら洗剤を追加する傾向がある。

6.薄めた液を利用

一般に、原液を使うと使い過ぎになりやすい。
薄めた液を利用するのが有効な利用法であるが、薄める割合は数倍程度である、 標準使用量の10倍の希釈で原液を使ったときに比べると、洗剤の使用量は1/10~1/3と、かなり少量で済んだ。

7.残留性

洗剤の原液で洗って、軽くすすいだとき〈流水で4秒〉と充分すすいだとき(同8秒)を比較すると、4秒では残留量がやや多いことがある。 充分すすげば、原液を使用しても標準使用量に薄めた液を使用しても残留量に差はない。

8.従来の洗剤は「手にやさしい」とは言い切れない

従来洗剤では、10人中2人が指先などに手荒れを感じている。

9.植物性原料使用は単なるイメージ効果

植物性原料を使用した洗剤については、多くが「環境にやさしい」「手肌にやさしい」イメージを与えているが、植物性原料使用との関係はないようであり、イメージの方が先行している。

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