研究室情報

洗壜洗剤の基礎知識について

洗壜するに当り、基本的な知識をお伝えします。

 

洗壜における汚れの概念

洗壜における汚れは原料及び、ラベル構成物質中の成分(タンパク質・炭水化物・油脂・ミネラル等)と、水の成分(カルシウム・マグネシウム塩)から成り立ち、これらの汚れは有機物系と無機物系に大別される。

有機物系の汚れにはアルカリ性または中性の洗浄剤が有効であり、無機物系の汚れには酸性の洗浄剤が有効である。

水の特徴

井戸水を用水として使用される場合、各種溶解物質を多く含有している。

カルシウム・マグネシウム塩を多く含む水を特に硬水と呼び通常洗浄には適さない。

洗浄温度

洗浄剤の効果は温度の上昇により増大する。
洗浄効率を上昇させたい場合、洗液温度はなるべく高いことが望ましいが、スケールの生成・ガラス壜の温度割れ等の問題が発生する。

洗剤の主要成分

    アルカリ剤

水酸化ナトリウム(苛性ソーダ)
強力なアルカリ剤。タンパク質汚れの分解・油脂汚れのけん化(石鹸の生成)・殺菌効果がありこれら有機物汚れに対して迅速に反応するという長所を持っているが、反面、すすぎ性の悪さ・発泡の制御不可・スケールの生成等の短所も併せ持つ為、単独にての使用は困難。
その他のアルカリ剤としてケイ酸ナトリウム等が挙げられる。

界面活性剤

陰イオン性界面活性剤(アニオン)
非イオン性界面活性剤(ノニオン)  
陽イオン性界面活性剤(カチオン)
水と結合出来る親水性と油脂と結合出来る疎水性の両方を併せ持つ物質の総称。 通常水と油脂は結合出来ないが、この界面活性剤が含有されていると、その水と油の境界(界面)にて結合を促す(活性)効果がある為、洗液中に溶解し、被洗物表面より油脂を分離させる効果を発揮する。又、親水性と疎水性の両方を併せ持つ性質上その洗液の表面(界面)に集まる為、結果的に溶液全体の表面張力を下げる効果が現れ、水をはじく汚れに水が密着出来るようになる為、湿潤・浸透効果が得られる。

りん酸塩類

オルソりん酸塩類(.りん酸三ナトリウム)  
縮合りん酸塩類(トリポリりん酸ナトリウム)

オルソりん酸塩類

硬水中においては沈殿作用によりフロックを形成し、塩類を沈殿させ、水を軟水化する・比較的高いアルカリ性を呈する為、アルカリ剤の阻害要因とならない。
機器の金属面に皮膜を生成し腐食を防止する等の効果がある。

縮合りん酸塩類

水の硬度成分をキレート作用により軟化・他の洗浄剤組成と相 乗効果を発揮する特徴・不溶性物質の溶液中への分散・油性物質の乳化作用等、効用は多岐に渡り、多くの洗浄剤の成分とし て使用されているが、洗浄溶液が高温の場合、または高濃度の 苛性ソーダ中においてはオルソりん酸塩類に分解してしまう特徴がある。

キレート剤

グルコン酸ナトリウム、EDTA、NTA等活性炭と似たような効果がある。キレート剤は金属イオン(塩類含む)をその構造の中に固定化し、イオンを不活性化する能力をもつ化合物の総称であり、キレート剤自体には洗浄能力はないが、洗浄阻害要因を除去する効果があり、特に硬 水域での洗浄剤にはかかせない成分である。
上記りん酸塩類とキレート剤を総称して金属封鎖剤とも言う。

消泡剤

非イオン性界面活性剤
シリコン樹脂系消泡剤
洗壜機はジェット式・浸透式に大別されるが、ジェット式では油脂汚れ・タ ンパク汚れの一部はジェット噴霧により発泡し、ジェット圧を低下させる。
苛性ソーダは発泡を制御することが出来ない為、消泡剤の添加は必要不可欠となる。
消泡剤 には非イオン性界面活性剤とシリコン樹脂系消泡剤に大別される。
シリコン樹脂系消泡剤は安価だが酸性である為、アルカリ剤の阻害要因となってしまい、非イオン性界面活性剤は一般的に熱・アルカリにより分解されやすく、耐アルカリ性のものは高価であるという欠点がある。

スケールが生成する事による問題点

塩類は熱・アルカリにより不溶性に変化後、金属面に付着しスケールを生成。熱伝導率の低下・洗浄ノズル詰まりの原因となる。
塩類は、アルカリ洗浄によりした鹸化物質とも反応し、不溶性の金属石鹸となり、沈殿または溶液中に浮遊し、洗浄阻害要因となる。キレート剤等の金属封鎖剤を使用していない環境下において、アルカリ剤は、水が軟水化するまで塩類と反応する為、アルカリ剤の濃度が低下する。
スケールは物質的に安定している為、基本的に一度生成されたものは酸洗剤による洗浄以外除去は困難だが、その強力な酸化作用により、鉄等の腐食を促してしまう欠点がある為、使用には充分な注意が必要になる。 
スケール生成防止策 ・使用する水を薬剤により軟水化する(軟水処理装置)使用水量に見合う軟水処理装置の設置スペース・軟化剤の使用によるコスト等の問題があるが、カルシウム・マグネシウム塩除去率は高い使用する水を熱により軟水化する(熱交換器)設置スペースは比較的小さくすむが、アルカリに反応する塩類の除去は出来ない(溶液中にアルカリ成分が含有する場合は、この限りではない)。

使用頻度に合わせた酸洗浄の定期実施が必要

キレート剤を多く含む洗浄剤を選定する:
すすぎ工程に添加しスケール付着を防止する事も出来るが、常に清水が足される環境下においての濃度管理方法・添加コスト等の問題が発生する。

洗液温度を下げる:  
スケール付着防止策にはなるが、洗浄効率の低下につながる。

引用参考書 F酒造メーカー 研究室

ケイポール洗剤の新情報

ページのトップへ戻る