あたまの休息所

第九話  20005.15

英語が国際語として認められ、コンピュータは英語が基本となっている。まさに英語なくして今後の国際社会はありえないかのような印象を与える発言も多い。

しかし、膨大な文字数であるため、コンピュータの世界で取り残されたかに見えた漢字、急速に進む技術革新で、新たな可能性をつくろうとしている。

今年の2月5日 、「四庫全書」電子版が完成した。古代から清朝の乾隆時代に及ぶ中国古典籍の主要部分約3,500種、約8万巻の書物がわずか 190枚のCD-ROMに収められ、日本語版ウィンドウズでもそのまま利用できる。

漢字の世界はいま大きく変わろうとしている。

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テーマは「国際語から民際語へ」というもので、「民際語」というのはちょっと聞き慣れないことばである。

もちろん厳密な定義はまだないであろうが人びとのあいだで用いられる共通言語は、その背後に国家が見え隠れする国際語という従来の概念によらず、生活する個々人相互間の意思伝達に照準を合わせつつ、民族・国家を超えた民際語 (transnational language) という新しい方法でとらえなおすことによって、そこで生じる問題点を再考し、世界的な言語コミュニケーション理念が構築される可能性を検討する。

各国には、「単一言語」というものがあるが、一人一人が自分の意思で、コミュニケーションの手段として使いこなす為のさまざまな言語 (多言語) があり、今後、コンピュータやインターネット上で「多言語」環境が実現し、保証される為には、統一的なコード表が適切につくられ、メンテナンスが維持される必要がある。

近年、コンピュータとインターネットの発達によって、国際的ならぬ「民際」的コミュニケーションが、地球規模で瞬時に行えるようになった。が目下のところ相変わらず英語が支配的で、デジタル王国では英語が「国語」の地位を占めている。

その原因の一つは、初期のコンピュータにおいて、データをネット上に乗せるためのプロトコルが英語のアルファベット向けに開発された、低レベルのものでしかなかったことによる。

その為、他の言語や文字体系を扱うことができなかった。つまり、技術が未熟だったから、初めは英語のアルファベットしか使えなかったにすぎない。今日、OS (基本ソフト) やワープロなどの応用ソフトの技術進歩によって、私たちが使っている普通のコンピュータでも、すでに多数の漢字や各国の文字が自在に使える様になっている事は言うまでも無い。

にも係らず、依然として英語が絶対優位を占めているのは何故か。

ウェールズの英語学者、デイヴィッド・クリスタル氏が著した「地球語としての英語」 では、一つの言語が世界に君臨し、自ら維持拡大していくには、軍事力、経済力がその背景にあることを指摘する。

英語がここまで世界的存在になったのは、超大国となったアメリカの経済的優位が原因である。

初期のコンピュータのプロトコルが技術的な未熟から英語のアルファベット向けに開発されたのだが、後に考案された多言語使用を想定した高度なプロトコルにも大きな問題があって、標準化された形で国際的に行きわたるための妨げとなったとしている点である。「地球語としての英語」とのたまうやからは英語しか見ていない視野狭窄といわれても仕方が無い。こういった視野狭窄は、アメリカよりもヨーロッパにその傾向が強い。

それは環太平洋の地域と環大西洋の地域では、漢字や中国語に対する切実さがまったくといってよいほど異なる事に起因していよう。経済力と軍事力も要因となっている。

中国において、インターネットが急速に普及しており、中国語や漢字が存在感を強めている。

それに呼応するかの様に、中国語に対する学習熱も世界的に高まってきている。アメリカで中国語を選択する学生は、95年は90年に比べて 36%増えており、韓国では、大学で中国語を専攻する学生は88年の5,000人あまりから96年には約4万人に増え、フランスでも1998年に中国語を教える大学は27校、中国語水準テストを受ける学生は4万人を超えているという。タイでは、今年から小中学校で中国語を教え始めた。

今年の旧正月(2月5日) 、待ちに待った「四庫全書」電子版が完成。

総文字数でいえば約8億字からなる中国古典籍の巨大データベースが誕生した。古代から清朝乾隆時代に及ぶ中国古典籍の主要部分約 3,500種、約8万巻の書物が、わずか 190枚のCD-ROMに収められてしまう。

文字データのみならず、 230万ページの画像 (版画) データが普通のパソコンで利用できるようになる。

しかも、シングルデータ/シングル・バイナリという技術によって、中国版ウィンドウズのみならず日本語版ウィンドウズでもそのまま利用できるのである。検索も充実しており、辞典もついているという便利さでまもなくインターネット上でも利用が可能になる予定である。このような巨大データベースを構築するにあたって、必要とされた文字種はたかだか3万 2,000字だった。

日本では、第一、第二水準漢字の 6,355字に加え、第三、第四水準の漢字案がすでにレビューを終え、これが加えられると 3,685字が増えて、総計1万40字となる。

国際的に認知されたISO/IEC10646-1(JIS X0221)/IEC10646-1(JIS X0221) にある国際文字コードは現在2万 7,484字に増えている。ただ、このなかには異体字が多く含まれており、利用者にとっては不便である。

経済のグローバル化時代、ビジネス人にとって、民際語が英語にならざるをえないのもまた否定できない事実である。

しかし、漢字の存在意義が世界に示されるのは大事なことであることに間違いはない。                         

世界中のどの国のどの言語よりも、日本語ほど表現・感情・言葉数等優れた言語はありません!


以上新たな事柄につづく

参考・引用(株式会社情報工場より)


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