++社長の小部屋 ++
第38話 水Part4,身近な水

阪神大震災・東北大震災・そして熊本大震災と、地殻変動期になったのか?と思う地震規模と数。
久々の話、地震についてではなくまたしても「水」について調べてみました。
熊本、肥後の国では古来より水が豊富な地域です。
その水が地震で大変化した様子だと報道にありました。被災地区の皆様は水で困っているとのこと。
ひねると出る水が出ないと大変なことになる現代!身近な水の話


身近な水のお話

純水

水道水や川や水といった我々の身の回りにある水には、いろいろなものが溶け込んでいるため、化学的には純粋な水ではありません。もちろん我々が日常使うにはそれで構わないのですが、科学研究や産業技術の上ではもっと高純度の水が必要となってきます。
さて電解質を含む水からどんどん電解質を取り除いて純粋な水にしていくと、どんどん導電率は小さくなっていきます。もしも電解質を全部取り除いたとしたら導電率は0になるのでしょうか?答えはNOです。というのは水の分子自体がほんのちょっと(5億個に1個くらい)だけ、水素イオンと水酸化物イオンとにイオン化します。このtき、理論的には25℃で0.0548μS/cmの導電率になります。
現在、半導体産業で超LSIの製造に使われている水の導電率は0.06μS/cm以下で、とても純度の高い水です。こんな水を超純水といいます。超純水レベルにまで行かなくても脱イオン処理をして、導電率を1μS/cm程度以下まで下げた水のことをイオン交換水とか、脱イオン水といいます。ふつう純水といえば、このレベルの水のことを指します。水が空気に触れると、炭酸ガスが溶け込み1μS/cm程度導電率が上がりますが、純水レベルになると、こうしたことも導電率に影響を与える因子になるのです。

おいしい水

季節や場所によって、水道水がかび臭かったり、カルキ臭かったりした経験をお持ちの方も多いかと思います。水道水は湖や川の水を浄水場で浄化し、滅菌用に遊離塩素を加え一般家庭用に送られます。このため元になる水によって、味に影響をうけます。ですから元の水がきれいなほど、また上流ほど水道水がおいしい場合が多いようです。それではほとんど不純物の入っていない純水はおいしい?答えはNOです。なにも入っていないから“味気無い”ものです。人間がおいしく感じる水は、やはり自然の泉から湧き出た水であり、昔からおいしいといわれたおいしい水やミネラルウォーターが各社から売り出されているわけです。(ミネラルとは、カルシウム、マグネシウムやナトリウム、カリウム、鉄など、水に溶けている鉱物質をいいます)
そこで厚生省で決められたおいしい水の条件を紹介します。

 

 おいしい水

 水道水

   備 考

蒸発残留物

 3000mg/l

 500mg/l以下

 

硬度

 1000mg/l

 300mg/l以下

 ミネラルの量

塩素Cl-

 

 200mg/l以下

 

遊離炭酸

 330mg/l

 

 

残留塩素

 0.4mg/l以下

0.1(遊離)
0.4(
結合)
 mg/l以上

 水道水には殺菌の為塩素を入れる。
 消毒作用を持つ有効な塩素を残留塩素という。

臭気度

 3以下

異常でない事

 

過マンガン酸カリ消費量

 3mg/l以下

 10mg/l

 

水温

 20℃以下

 25℃以下

 

水の良しあしが一番影響を受けるのはそうです酒、特に日本酒です。

宮水
おいしいお酒はおいしい水がなければできない。
昔から日本酒を作る条件としては、水、米、気候といわれています。
清酒醸造の水としてとくに有名なものに兵庫県灘の宮水があり、灘発展の技術的要因は、高度精白米と宮水の使用によるといわれています。宮水の水質表から導電率を計算しますと600μS/cmとなり、宮水がおいしい水であることがうかがわれるわけですが、この宮水は江戸時代、天保11(1840)、桜正宗の祖、山邑太郎左衛門が発見したと伝えられています。太郎左衛門は醸造する場所による味の違いに着目し、杜氏を交替したり、麹を変えたり、醸造方法を比較したりと、試行錯誤し、ついに味の違いが水であることを発見しました。現在では、宮水等の分析により、どの成分が醸造に対しどのように影響するかが明らかになり、醸造に適した水を使用するところも多くなりましたが、今日なお灘五郷では宮水を利用し、酒質の醇美さを天下に誇っています。当然ウイスキー、ワイン、ビール等を作る場合も国により、使用する水により、いろいろな味、色があります。有名なものではミュンヘン型の黒ビールは、硬水を使用しており、ピンゼン型の淡色ビールは軟水を使用しています。

醸造用水の無機成分の比較(数字はppm)

 

宮水
(11
種平均)

醸造用水
(56
種平均)

カリウム

20

12

リン酸

5.2

0.4

マグネシウム

5.6

7.0

カルシウム

37

27

塩素

32

46

ナトリウム

32

32

導電率を測った場合、水道水と自然水とでは得られた結果から考えられることは、逆の場合が多く、水道水は導電率が大きいと塩素等の水をまずくする成分が多いということであり、自然水は水をおいしくするミネラル等が多いということです。(参考までに水道水は100200μS/cm、おいしい水は400700μS/cm程度が多い。)おいしい水を作るため、家庭用浄水器がいろいろと売られています。活性炭で塩素等をとるものや、炭酸カルシウムでカルシウムを溶出させるもの等いろいろありますが、そのシステムさえ理解していれば、浄水器を通す前と後の導電率を測ることで浄水器がうまく働いているかどうか知ることができます。


新たな事柄につづく

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