++社長の小部屋 ++
第35話 家庭に於いての洗濯術

衣料洗濯、洗うとは?、洗剤とは?


人間社会に於いて掃除(かたずける:しない人もいますが)が当然であります。
特に環境問題が騒がれて参りました。環境問題に一番槍玉にあがるのが洗剤であります。
不満に思っている訳ではないのですが、確かに洗浄剤はそれ自体も廃棄物には違い無いです。
となれば洗剤の使用方法を考えれなければなりません。

そこで必ずしも洗剤を使う事を考えず、又使用する時は短時間・少量ですむよう効率よく使う事で上手に使いましょう。

[洗浄剤を使う必要のないケース]
蛋白質、でん粉など使用直後に洗う場合、温水で十分洗えます。

[洗浄剤を使うケース]
蛋白質、でん粉などに油脂分が混ざる時、これも使用直後に少しの洗剤を使用して、温水で洗います。

[洗浄剤が必要なケース]
汚れてから時間蛋白質、でん粉など使用直後に洗う場合は洗剤の出番です。

よい洗浄剤は、次のような機能をバランスよく持っているものです。

洗浄力:
洗浄剤ですから、洗浄力は強くなければいけません。
低残留性:
いくら洗浄力が強くてもその洗浄剤が洗浄物の中に残ってしまっては意味がありません。
使用簡便性:
液体や粉末の洗浄剤はその場に飛散してしまいます。洗浄剤がよごしてはいけません。
衛生上の問題:
万が一洗浄剤が洗浄物に残留した場合を考え、衛生法上の登録があると安心です。
製品安全の確認:
PL問題等安全に対する意識を高め、製品安全データシート(MSDS)は見ましょう。


洗剤について。

一般的な洗濯洗剤は・界面活性剤(洗剤)に助剤・酵素・蛍光増白剤等が混合されています。これらは界面活性剤に対してビルダー(相乗効果)をもたらして洗浄力をアップしています。
では、これらを沢山入れればもっと洗浄力がアップするのでしょうか。
答えはNOです。
むしろ逆効果で洗浄力をダウンさせます。何故なら、これらの界面活性剤・薬剤などはビルダーと相殺現象も起こしているからです。  例えば、最も洗浄力が高い界面活性剤の濃度は0.1%ぐらいです。しかし、界面活性剤は酵素や酸素系の漂白剤の反応をスポイルしてしまう性質があり、界面活性剤の濃度が0.1%では酵素や漂白剤がうまく働きません。
実際には各メーカーとも0.03%程度に為るように設定してあります。此により界面活性剤と各薬剤の濃度のバランスがとれて高い洗浄力を発揮するのです。
つまり、洗剤を沢山入れても綺麗には為らないのです。そればかりか洗剤の入れすぎは排水の際に水質汚染をもたらします。洗剤の投入量は必ず守りましょう。

洗浄時間。
これには逆汚染について考えなければ為りません。
逆汚染とは洗濯中で一度繊維から落ちた汚れが再び繊維に付着してしまう現象です。これは洗濯なとっては宿命であると言って過言ではありません。従って、なるべく逆汚染をしないように洗濯する事が必要なのです。
洗浄時間や水温は逆汚染と密接な関係があります。洗浄時間は長ければ長いほど逆汚染を誘発しますので、出来る限り短時間で洗うのが逆汚染に対してはベストです。
では、しっかりと汚れを落として逆汚染を最小限にとどめるには何分くらいが理想なのでしょうか。汚れ落ちのテストの結果では5分までは汚れは落ちますが5分を越えるとほとんど変化がありませんでした。又、洗剤が水に溶け込みミセルと言う状態になって洗浄力を発揮するにも時間が掛かります。
これは洗剤の種類や水温により異なりますので、一概には言い切れないのですが、3分くらいが目安と思われます。
洗浄時間は8分〜10分まで。ひどい汚れなら、その部分をもみ洗いするか、二度洗いするのが有効と考えられます。

水温について。
水温10℃から40℃までは洗浄力がアップします。それから60℃までは横這い状態となります。
しかし、60℃を越えると一気に洗浄力がアップします。これは40℃の時点で脂質の融点に達するために一つのピークに達し、それから60℃を越えると脂質の溶解が80%を超え再び洗浄力がアップする。
これだけを見れば温度の高い方が洗濯には有利のように思われます。しかし、先ほど逆汚染について述べましたが、高温で洗濯した場合でも逆汚染を促進していまう傾向にあります。
これは繊維が温度により膨張してしまい、繊維のより内部に汚れが入り込む恐れが在るためと、元々ポリエステルなどの合成繊維は逆汚染しやすい性質があり高温だとそれを促進してしまう為です。又、もう一つ高温の温水が不利な理由に「60℃を超えると酵素の分子が変形してしまい反応しなくなる、そして界面活性剤も分子の運動が激しいため汚れに吸着出来にくくなる。」など洗剤そのものの働きを低下させてしまいます。さらに繊維によっては高温に耐えられない繊維も存在します。

洗濯する素材やそれに対しての洗剤の種類。
何もかも一度に洗うのは間違いです。しかし、大型の洗濯機が普及した昨今、一度に一日の洗濯を全部洗ってしまう方が結構いらっしゃるのではないでしょうか。
色・柄と白物又は綿・麻のセルロース繊維とシルク・ウールなどのタンパク繊維とでは使う洗剤も洗う方法も違います。
上記で少し述べましたがポリエステルやレーヨンなど逆汚染しやすいものと綿・麻などを一緒に洗う事はさけた方が良いでしょう。

綿・麻などの白物の場合は、粉末か液体の弱アルカリ洗剤で洗浄時間は8分〜10分程で汚れが酷い場合は事前にもみ洗いするか二度洗いをする。

洗剤の投入量はメーカーの指示通りにして下さい。
温度は40℃くらいがベストですが、一般家庭で常時温水を使うのが難しい場合、もしくはポリエステル・ポリエステル混紡と一緒に洗うので在れば常温で可。ただ冬場など水温が著しく低い場合は、溶けやすい液体洗剤を利用するのも良い方法でしょう。
ウール・シルク等デリケートな繊維は中性洗剤で基本的には手洗いです。
洗濯機などはソフト洗浄の為、回転を落とすとそれに比例して洗浄力も低下してしまう向きにあり、これに対して手洗いの場合は強弱様々な機械力を加えられて汚れや必要な状態に応じて必要な力のみ加える事が出来できます。従って家庭でのデリケート洗いは手洗いをお勧めします。水温は人肌程度を目安。

品質表示に従いドライクリーニングを指定してある物はクリーニング店へ依頼し、家庭洗濯する場合でも型くずれを防ぐために中性洗剤で弱回転の短時間で洗う事。
縫製や形状が複雑であり、デザインや機能上で複数の性質の異なる繊維や染色が使われているため繊維の損傷や脱色・縮みなどのトラブルを招く危険が高く、家庭洗濯では細心の注意が必要になるためです。
汚れは外気からの粉塵などに付着した油分や泥・ほこり等不溶性の汚れを繊維に接着させる油性の汚れ等、さらに襟・袖の汚れも人体からの皮脂分であるために、油性処理の能力の高いドライクリーニングの方が有利であると言えます。


新たな事柄につづく

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