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第33話 水Part3,電解水

最近あるお客様から洗浄についてのノウハウと、今後の洗浄のあり方における「洗剤とは」と言うような話になりました。
その中で電解水についての話題がありその効用について調べてみました。
学術的な水の話の第三段というところでしょうか。


水の電気分解とは?

はじめに、電解水はどうやってつくられる物かを簡単にご説明しましょう。

電気分解をするには水に電気が流れなくてはなりません。水はH2Oですが本当に純粋な水は電気をほとんど流しません。
普通、電解水を作るのは水道水が使われます。ここにはカルシウムやマグネシウム、ナトリウム、カリウムなどのミネラル成分が含まれています。これらが入っていることで水に電気が流れやすくなっています。塩水に良く電気が流れるのと同じものと考えてください。そこで隔膜という仕切りの膜で二つに区切った箱に水を入れ、仕切りの両側に電極を置いて直流の電流を流すと最も基本的な電気分解の装置が出来ます。

隔膜とはミネラルや各種のイオンを通すくらいの細かい穴を持った樹脂製の膜で、コーヒーを入れるときに使うフィルターをうんと細かくしたようなイメージの物です。
電極には普通、チタンという金属でできた板に指輪などを作るプラチナを薄くコーティングしたものを使います。
チタンもプラチナも非常に高価な金属ですが電気分解する水に金属が溶け出すのを防ぐ意味と酸素や水素を発生させる触媒の作用を利用しています。
この触媒作用を利用するために出来上がる電解水の用途によりイリジウムという金属をプラチナと組み合わせて使う場合があります。このイリジウムは塩素を発生させるための触媒として働きます。
電気分解は水にエネルギーを与えイオンに分解することです。イオンには化学記号で表すときH+(水素イオン)、O-(酸素イオン)のように+、−が付いています。これは電気的に不安定の状態を示します。電子はそもそもマイナスで(e-と表します)この電子が不足している場合+に荷電したイオンになり、多い場合マイナスに荷電したイオンになります。直流の電流を流すと+イオンは−の電極へ、−イオンは+の電極へ引かれる性質があります。またこれによって水素イオンにも偏りが出てプラスの電極が入っている容器の水は酸性を、マイナスの電極が入っている容器の水はアルカリ性を示すようになります。

陽極(+)側では・・・
水分子がH+(水素イオン)とO2(酸素分子)とe−(電子)に分けられ水素イオンが増え酸素分子が水に溶け込んでいきます。溶け込む酸素量は容易にその温度での飽和濃度まで上がります。
このとき、オゾン、O2ラジカル等が発生します。さらに相手を酸化する力を持った酸化性のイオンが多く発生します。また、強酸化水では電解質(例えばNaCl等)が反応を起こしその電解質によってもっといろいろな物質が生成されます。
こちらの水は酸性を示し、相手を酸化する力を持った水になります。
陰極(-)側では・・・  水にe−(電子)が作用してOH−(ヒドロキシイオン)が増え、またH2(水素分子)として水に溶け込んでいきます。さらに、相手を還元する力を持った還元性のイオンが多く発生しています。
この水の特徴として、酸素等の酸化に関与する物質が極端に減っていることにあります。また、カルシウム、マグネシウム、ナトリウム、カリウム等のミネラルの一部はイオン化してこちらがわに引き寄せられます。
こちらの水はアルカリ性を示し、相手を還元する力を持った水になります。

ここで注意が必要なのは、電解水は酸性水、アルカリ水ともに酸、アルカリではないという点です。
酸、アルカリは中和して(反応して)塩をつくりますが、電解水は塩を作らず中和されます。電解水の場合は水分子が分解して相対的に水素イオンに偏りができるためにpH(水素イオン濃度)では酸性またはアルカリ性を示しているものです。
そのため電解水を中和しても塩は作らず、中性の水に戻ってしまいます。
ここが薬品と違い環境を汚さない電解水の大きな特徴です。
電解水の場合例えpH2の酸性水、pH12のアルカリ水で手を洗っても火傷はしません。電解水を良く理解されていない方は、アルカリ水を飲むと胃液が中和されてしまうといいますが、実際に塩酸とアルカリ水を混ぜても中和されず水を混ぜたのと同じように薄まるだけです。

酸や硫酸などの化学物質はpHで測定される水素イオン濃度と同じだけのマイナスイオンも持つことで安定していますが、電解水は酸性水は水素イオンなどのプラスイオンのみ、アルカリイオン水は酸素イオンなどのマイナスイオンだけを持つという特殊な形を取っています。 このために、アルカリ水は塩酸などを中和するためのプラスイオンを持たず、一方酸性水は水酸化ナトリウムなどを中和するためのマイナスイオンを持たないために中和できないのです。

現在一般に使われている電解水には大きく分けて2つの種類があります。
一つは水道水や純水・ミネラルウォーターなどをそのまま電解するもので、一般に「アルカリイオン水生成器」と呼ばれている機械で作ります。主に陰極側(アルカリ水)を利用します。
もう一つは塩化ナトリウム(塩)や塩化カリウムなどの電解質(電気を通り易くする物質)を加えた水を電解するもので、一般には「強酸化水生成器」と呼ばれる装置で作ります。主に陽極側(酸性水)を利用します。

これらの使用方法、使用用途については今後各方面広がっていくものと思います。
続けて調べて行きたいと考えております。


新たな事柄につづく

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