++社長の小部屋 ++
第33話 「雨」の表現

一年に一回必ずある梅雨。

何故「梅雨」と書いて「つゆ」と読むのか。
よく知られている事なので省きますが、水害は困るが雨が無いと大変な事になります。
つゆを題材として「梅雨」に関して調べていたら、根本の「雨」の方が奥深く面白と「雨」を少しかじってみました。

今回は「雨」にまつわる色々な面から調べてみました。


日本は世界でも有数の多雨地帯であるアジアモンスーン地帯に位置しているので、降水量が多い。
日本の年降水量は1800ミリなのでこれは世界平均の二倍にあたるそうです。  
アフリカ西海岸では、木の葉から露を集めて飲料水にしているところもあるそうです。
人間の生活に不可欠の水に恵まれた日本は、しあわせな民族です。
それだけに、雨と関わるくらしが多く、雨の呼び方もどっさりあります。

五月雨(さみだれ)・卯の花腐し(うのはなくたし)・青梅雨(あおつゆ)・走り梅雨・送り梅雨・・・などなど。
梅雨時の雨をただ嫌なものとせず、楽しんでいる姿がみえます。集中豪雨は困りますが、から梅雨だと夏の旱魃が困りますものね。
雨を見て、嫌だと思ってしまうと気分まで滅入ってしまいます。プラス志向で積極的に雨を楽しむような言葉を使えば気持ちも明るくなります。「あ〜雨だ、嫌だなあ」ではなく、「いい湿り具合だ」「いいよねー雨」というように気持ちを切り替えるのです。でないと、いつまでも心は悪い状態で天気に左右されつづけてしまいます。

昔の文部省唱歌に「四季の雨」というのがありました。
  春の雨は「水に輪をかく波なくば、けぶるとばかり思わせて降るとも見えじ春の雨」
  夏の雨は「物干し竿に白露を、なごりとばかり走らせて俄かにすぐる夏の雨」
  秋の雨は「木の葉木の実を野に山に、色様々にそめなしておりおりそそぐ秋の雨」
  冬の雨は「窓の小笹にさやさやと、更け行く夜半をおとずれて聞くだに寒き冬の雨」 と歌っています。

四季を細かく引き出せば、

春] 春雨・春時雨・菜種梅雨・春霖・梅若の涙雨木の芽雨・花の雨・桜ながし・催花雨(さいかう)
春まだ浅い芽吹きの頃、静かに降る春の長雨のこと。 春驟雨(はるしゅうう)春に降るにわか雨のことで、雷をともなうことがある(春雷)春時雨(はるしぐれ)とも言われている。
卯の花腐し(うのはなくたし)春雨と五月雨の間に降る雨(五月雨の別名とも言われている)

夏] 夏の雨・卯の花腐し・ながし・筍梅雨・走り梅雨・梅雨・梅霖(ばいりん、梅雨と同じ)・青梅雨・五月雨・送り梅雨・戻り梅雨・虎が雨・ 白雨(はくう)・村雨(むらさめ)・群雨・にわか雨・夕立・白雨、喜雨
虎が雨・虎が涙雨・曽我の雨陰暦五月二十八日に降る雨のことを言う。 1193年のこの日、曽我兄弟による父のあだ討ちがあったことから 夕立急に降り出してすぐに止んでしまう雨のこと。とも言う。

秋] 秋雨、秋霖、洗車雨、御山洗、秋時雨
秋の雨 秋霖・秋雨秋に小雨が降りつづくことを言う。 雨月・雨夜の月(月の見えない日の雨) 時雨(しぐれ)

冬] 時雨(朝時雨・夕時雨・小夜時雨・木の葉時雨・村時雨・横時雨・月時雨など)冬の雨・寒の雨
晩秋から初冬にかけて、急に降ったり止んだりする雨のこと。

 

【その他に雨の呼び方として 色々な雨 】

慈雨(じう)・甘雨(かんう)  天から落ちてくる恵みの雨のこと 特に日照りのあとの雨のように、天への感謝がこめられている。

日照雨(そばえ) 陽が射しているのに降る雨のこと。よく、天気雨はキツネの嫁入りといわれている。

小糠雨(こぬかあめ) 「糠」は、はかない、細かいとの意味から細かい雨、傘をさすほどではない雨のことを言う。霧雨・細雨(さいう)とも言われている。

篠突く雨(しのつくあめ) 篠を束にしたような激しい大雨のこと。これに風が加わると、「篠を乱す」と言う。

涙の雨  身を知る雨時 雨心地袖の時雨 雨雫 女性がさめざめと涙をこぼすこと。

雨やさめ 「さめ」も雨の意味。 重ねてその意味を強め、雨がたくさん降ることをいうが  ひどく涙を流して泣くことを意味している。

【雨のことわざ】

雨、塊(つちくれ)を破らず 雨が降り草木を培養するように、世の中が太平であること。

雨に沐(かみあら)い風に櫛(くしけず)る 苦労する様子をたとえたこと。 雨に濡れて露恐ろしからず 大灘にあった者は、小さなわざわいを恐れることはない。 雨晴れて笠を忘る 困難が去るとその時のことを忘れてしまうこと。「喉もとすぎれば熱さ忘れる」と同じ意味。

【雨の言葉】

雨降り花 摘み取ると雨が降ってくると伝えられている花。ホタルブクロ、ツリガネソウなど、その地方によっても違う。

雨降り星 牡牛座の中にあるアルデバランを中心とした星。 またはヒデアス星団のこと。

雨障り(あまざわり) 雨で外出できないこと。  雨を帯びたる桃桜(桃李) 李や桃、桜などが雨に濡れて美しいところから美しい女性に用いられる言葉。

巫山の雲雨(ふざんのうんう) 男女が夢の中で結ばれること。

雨上がり(あめあがり) 雨が上がった直後をいう。「あまあがり」とも。

雨乞い歌(あまごいうた) 日照りの際、降雨を願って雨乞いをする時に歌う歌。そのときの踊りが雨乞い踊り

雨戸(あまど) 家のめぐり又は入口に立てる戸。

雨暗・雨闇(うあん) 雨がふって暗い。

雨意(うい) 雨の降りそうな様子。

雨淫(ういん) 雨の降る度がすぎる。

雨雲(ううん) まさに雨ふらうととする雲。

雨下(うか) あめがふる。降雨。雨の降るやうに絶え間無くそそぐ。

雨降(うかう) 雨がふる。又、その日。あめふり。

雨香(うかう) 雨がかおる。

【春の雨の形容】

雨季(うき) 一年の中で、最も降雨の多い時季。梅雨季の類。雨期。

雨祈(うきなみだが) 雨のようにどめどなく下ること。

雨久(うきう) 雨あし。雨の滴が長く糸筋のように曳くさま。雨の降りすぎること。

雨脚(うきゃく) 雨が久しく降る。

雨花(うくわ) 雨の降っている時の花。雨中の花。又、雨のやうに散る花。

雨過(うくわ) 雨が晴れる。雨が通り過ぎる。

雨華(うけ) 諸菩薩が大法利を得る時、空中に曼陀羅華(美しい天華)の降るをいふ。

雨景(うけい) 雨の中の景色。

雨血(うけつ) 血を雨のようにふらせる。

雨を売る(あめをうる) 米相場で雨天が続いて米作の不良が予想され、相場が上がって来た時]雨の上がるのを見越して売る。

雨を買う(あめをかう) 米相場で雨が降って米の不作がが予想される時]値の上がることを予想して買う。

雨風うどん(あめかぜうどん) 甘い物も辛い物も、どちらも食べること。 

雨の宮・風の宮(あめのみや・かぜのみや) 取り巻き連中。

雨降り(あめふり) 裁判所。警察署。[裁判所・警察署へ行く時は「大時化」だから「雨降り」と言い変えた]

雨降りの太鼓(あめふりのたいこ) どうにもならない。[どんならん。鳴らぬ→成らぬ]

雨る(あめる) 雨降りのため仕事にあぶれる。

雨意雲情(ういうじょう) 男女の情をいふ。

雨雲衣(ううんのい) 雲雨に濡れた衣。情事のあとの衣服をいふ。

雨雲心(ううんのこころ) 情欲をいふ。

いやはや、先人の繊細な想い。これでも一部しか表記しておりません。確かに必要無い、使用しなくても困らない等現代には当てはまらないかも知れません。しかしこれらを表現する心情は昔も今も同じ人、心豊に生きていきたいものです。

新たな事柄につづく

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