あたまの休息所

第二十八話  2003.3.1

弊社が創業初めて、50年になりました。人で言えば老化の始まりの歳です。 今回は「老化」に付いて考えてみました。


 

1.老化の仕組み 人は誰でもいつまでも健康で長生きしたいと思うのが常である。しかし、人間はみな生きている限り老いていく。それは身体だけではなくて心も老いていく。 それでは、どういう経過をたどって老いていくのか、どう変化していくのかを探求していくことが必要になる。
ここで、老化の仕組み、身体の衰えについて現代医学的見地から簡単に述べることにする。
人は昔から「不老長寿」を夢みてきた。戦後、日本では経済の成長と、医学の進歩、環境の変化で、寿命がグーンと延びてきた。
しかし、「不老長寿」の夢は将来にわたってもかなえられないだろう。


老化がどのような仕組みで起こるのかが分かれば、さらに寿命は延び健康な老後を送れることになるはずである。
老化の仕組みを説明する「老化学説」には色々あり、一概にどれだとは決めることはできない。
現在分かっている明らかな事実の一つは、細胞の数が減ることによる臓器の萎縮に他ならないということです。

各臓器の重さの変化を表したものです。
臓器の重さの変化(単位=グラム)   脳 -5.3% 心臓 +40.0% 肝臓 -32.5% 脾臓 -55.0% 腎臓 -19.2%

老年と若年を比べると心臓を除いて、老年の方がすべて少ない。肝臓は67%、血液量の調整係の脾臓にいたっては45%にまで小さくなっている。これでは衰えるのも無理ありません。
心臓だけが逆に増えるのは、年をとるにつれて血管が硬くなって血液の流れが悪くなり、ポンプである心臓が一生懸命働かなければならなくなったからで、とても健康的な増加とはいえない。
それにしてもなぜ、多くの臓器が小さく軽くなるのか? それは細胞が減るからに他ならない。

当然、次の疑問として「なぜ細胞が減るのか?」となる。
それは、細胞中の遺伝子の本体DNA(デオキシリポ核酸)が常に色々なもので傷ついていくからだといわれている。
人間には、脳細胞のように分裂しない細胞と、皮膚や粘膜のように分裂して生まれ変わる細胞がある。

前者は年月が経つにつれて少しずつ細胞は死んでいく。
後者は分裂の時、いくつかの段階を経ながら同じタンパク質を受け継いでいくが、DNAは紫外線や放射線、ウイルス感染などで傷がつき、内部のラセン構造の一部がプツンと切れてしまうことがある。
若ければ酵素の力で修復されるが、年をとると次第に修復力が衰え、傷ついたところに本来つくべきものとは別のアミノ酸がくっついて、全く種類の違う細胞になる。 この異星人みたいな細胞は、その組織には必要ないものだからまもなく死んでしまう。その繰り返しで細胞が減っていく。
この考え方は有力であるが、老化のすべてを説明しているわけではない。
ほかに、老化はあらかじめ遺伝子に組み込まれているという「プログラム説」、身体にいいはずの酸素も形が変わるとDNAを傷つけるという「活性酸素説」など様々ある。
早死家系、長寿家系があるように、老化に遺伝体質の要素の存在は否定できない。老化には、細胞の減少を中心に、様々な要素が複雑に絡み合っているものと思われる。老化や寿命を左右する要素は、遺伝体質が最も重要であるが、そのほかにも病気、栄養、なにごとにも積極的に立ち向かう活力(精神的活性)、さらに気候、大気汚染などの環境が影響していると思われる。
もちろんアルコール、タバコ、ストレス、食べ過ぎなども老化の要因に含まれる。

結局は、どんな生活を続けるかということにかかっている。 老後をいかに健やかに過ごすかは、心の健康に大きく左右される。
心の健康とは、精神的な要素で、心と体の働きは切っても切り離せない関係にある。
つまり、老後の衰えは身体だけではなくて精神的な心も同時に衰えていくものである。
長年連れそった夫婦のどちらか一方が亡くなると、残された者は急に衰えてアツという間に後を追うように死んでしまうことがよくある。 これは今まで支えになってくれた人が急にいなくなって、心の支えがなくなったからに他ならない。
これとは反対に支えがあれば老後は安定する。ある研究によると、「生きがい度」つまり生きる意欲や生活の満足感において、病気、寝たきり、配偶者に先立たれること、独り暮し、無趣味、クヨクヨ考えること、サークル活動なしなどは明らかにマイナスに作用する。

一方、健康、配偶者の健在、子供や孫との同居、何事にも無頓着、サークル活動や奉仕活動への参加などはプラスの要因で、住宅が持ち家であること、年金に恵まれていることといった経済面もプラスに働く。
身体と生きがい(精神面)は老化を予防する二大要素であり、どちらか一方が欠けても健康な長生きは難しい。青春とは人生のある時期ではなく、心の持ち方である。ばら色のおもざし、しなやかな肢体ではなく、たくましい意思、豊かな想像力、もえる情熱、かぎりない夢を指す。


年を重ねただけで人は老いない。理想を失うとき、目的を失うとき、生きがいを失うとき、はじめて人は老いる。


以上新たな事柄につづく 株式


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