あたまの休息所

第二十七話  2003.2.1

今後の日本経済、生活環境、もっと大きく地球の未来を考えていけば、大量生産の大量消費、経済的発展を望む様な時代は終わり、「15世紀の環境で21世紀を生きる」の様な発展が望ましい、いやそうすべきであると考えます。そして最初に又絶対に後に回せない一番の問題がエネルギーの確保であります。確実で安全で使用可能なエネルギーを探して見ると燃料電池・ロケット燃料等にクリーンなものとして水素があります。しかしそのものはクリーンでも使用にいたる環境が問題でもあります。公害を出しながら生産も困るし、何か犠牲にしての使用も間違っているし、色々な考え方があります。
今回は専門誌に記載された水素の各データーを元に検証してみました。


21世紀は「水素の世紀」といわれている。大量の水素が消費されることが 予想される。

資源エネルギー庁の燃料電池戦略研究会等の用途別水素需要予測は次のようになっている。

(水素需要量:立方メートル/0度C )

      用途             2010年   2020年   2030年

 自動車用燃料電池   台数     5万    500万   1,000万

             水素需要量   4億     38億     75億

 

 定置用燃料電池   設置容量   210万kW  1,000万kW  1,000万kW

   (家庭・業務用)   設置台数     140万    680万    680万

             水素需要量     73億    349億    349億

 

 発電: ディーゼル   設置容量      0.0     10万kW   210万kW

 およびタービン   水素需要量      0.0      3.5億     70億

 

 ポータブル燃料電池 設置容量   20万kW    50万kW    80万kW

             水素需要量    0.4億      1.1億     1.7億

       全水素需要量 (年間)    77.4億      391億    496億

これだけの水素原料をどのようにして確保するか。燃料電池の水素燃料源 は、メタノールから水素を取り出すなど、いろいろあるが、水素自体はクリ ーンエネルギーであっても、それを製造する段階で二酸化炭素を排出すると いう問題がある。

現在、工業用水素は、コークス製造、アルカリ水電気分解、メタン等化石 燃料の改質などで製造されているが、これらから一般需要に振り向け可能な 量はせいぜい90億立方メートル程度である。2020年をめどとする需要量 400 億立方メートルはとうてい賄えない。

水素製造方法

(1)電気分解法、

(2)メタンなど化石燃 料にある炭化水素を改質して水素を取り出す方法 (水蒸気改質法) 、

(3)水 を高温で直接分解する方法 (熱化学法) の3つである。

 

(1) 電気分解法  水を分解して水素を発生させるおなじみの方法だが、いったん電気を発生 させてから水素をつくるので、コスト高になる。夜間の余剰電力の有効利用 には向いている。個体酸化物と 800度C 以上の高温水蒸気による電解法に技 術的なブレイクスルーの可能性もある。

(2) 水蒸気改質法  メタンや石炭などの化石燃料を高温水蒸気で改質して、水素を取り出す方 法であるが、 800度C 程度の水蒸気を必要する点が問題になる。最近、特殊 な金属触媒や膜を用いて、より低温(400-550度C)で起こる水蒸気改質法が発 見・開発されてきている (米国のSERP法や日本のパラジウム膜分離法) 。 もう一つ問題となるのが、水素製造過程で出る二酸化炭素の回収である。 これの回収にコストがかかる。

(3) 熱化学法 熱化学法とは、 750-800度C を超えるような高温熱源を用いて、水を直接 化学的に分解する方法である。1970年代のオイルショック以降、数多くの研 究が続けられているが、なかでも有望視されているのが、原子力研究所が開 発しているヨウ素や硫酸などを触媒とするISプロセスと、東京大学が開発し たカルシウム・鉄・臭素の化合物からなる熱化合分解サイクルUT-3である。 工業規模の技術完成には時間がかかり、早くても2020年以降とみられるが、 将来の有力な水素製造法となるに違いない。

水素の大量製造と環境負荷の低減を同時に対応できる工業技術となれば、 原子力をおいてないと筆者は考える。高温原子炉と熱化学法、あるいは高温 水蒸気電解法を組み合わせることに可能性が高いであろう。もとよりこれら の技術を商用化するのに必要な技術的ハードルはけっして低くはない。時間 もかかる。水素需要拡大の将来をめざして、取り組むべき課題であると考えます。

水素を利用する業界にも問題がある。とりわけ自動車産業は、原子力水素 に対しほとんど関心を示してこなかった。原子力でつくる水素は「水素はク リーン」という消費者のイメージを損ないかねないという誤った懸念による ものだ。原子力水素に関して最も充実した情報交換が行われているのは原子 力システム懇話会に設置された「原子力水素研究会」(主宰・堀雅夫、2001 年発足) だが、ここに自動車産業関係者はいまのところ参加していない。  

これの実現には、30年以上にわたる開発研究が必要であり、いま から準備しても遅すぎるくらいである。半世紀先を見通した教育と人材育成 のほかに、研究機関の統合や大学などを拠点とした研究開発のインフラ整備 を急がねばならない。
とりわけホンダ・トヨタ等が燃料電池搭載の車両を販売始めた。更に
今月から住友商事が移動式水素供給機(移動水素ステーション)を販売始める。

エレクトロニクスで、アジア諸国に追いつかれた日本にとって は、水素の大規模生産技術の開発は、バイオ以上に重要なテーマのように思 われる。核アレルギーの日本ならではの障害もあるだろうが、すでに原子力 発電に大きく依存しているわが国だから、思い切って原子力水素に力を入れてもいいのではないか。


以上新たな事柄につづく 株式


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