あたまの休息所

第十五話 2001.5.10

仕事が思うように進まない人の多くは人の動かし方がへたである。仕事だけではない。日常の個人生活でもそうである。仕事ができる人というのは、技術や知識に加えて、コミュニケーション能力がすぐれている人をいう。

相手の心理を読み、同時に自分自身をより深く理解する事だ。人間の心理を深く知ると、自分のどこを変えればよいか、相手のどこを突けばうまく行くかがはっきりと理解できる。人間という心理的生物に共通する欲求や願望を知ることでもある。


●小さなイエスを2度言わせよう。3度目もたぶんイエスだ。

心理学では「段階別要請法」、あるいは「foot in the door technique」と呼ばれるこの方法は、セールスなどによく使われる。少しずつ相手を納得 させていく。最初はたわいない世間話から始めるのも、このためである。 ビジネスでも、大きな仕事を頼みたい場合、その前に、小さな仕事を頼ん だほうがいい。相手のほうも、小さな仕事を達成できたことで自信をもち、 次第に大きな力を発揮してくれる場合が少なくない。

●過去の失敗談こそ、将来の成功を信じさせる話材

商品のよいところだけを説明して、欠点を話さない話法、これを「片面呈 示」、長所も説明するが、短所も同時に教えるトーク、これを「両面呈示」 という。どちらが効果があるかは、相手や場合による。一般的には、両面呈示のほうが信用を得やすい。とくに相手が懐疑心の強い人、自分の価値判断に自信をもっている人の場合は、両面呈示がいい。しかし、素直に人の言う事を聞く人、信じやすい人などには、片面呈示のほうが効果がある。

●「しかし」で反論を始めない。「そうですね」で始めよう

反論するだけでは、相手は聞く耳をもたない。自分の意見を聞いてほしかったら、まず相手の話を聞くことだ。たとえ相手が間違っていたとしても、 頭ごなしに「あなたは間違っている」と言えば反発を招くだけである。「確 かに、一理ありますね」と言ってから、「ところで、私はこう思う」という 言い方をしたほうが、相手は素直に聞いてくれることが多い。世の中をうまく渡っている人は、少なくとも言葉の使い方を知っている。

●リーダーとは、テーブルの形にも気を配れる人のこと

中華レストランには、なぜか円卓が多い。これは台を回して、好きな料理 を好きなだけ皿にもれるなど便利だからであろう。しかし、心理学的にみる と、円卓には、もう一つの利点がある。円形あるいは楕円形のテーブルのほうが、四角いテーブルよりも、会話がスムーズにいく。教授と学生を対面さ せた実験でも、四角いデスクの場合には、学生は、教授が「権威主義的でやや攻撃的だった」と答え、丸テーブルで話すと、「親しみがもて、意見をよ く聞いてもらえた」と好印象を抱いたという。ただ、丸テーブルでは、リー ダーシップは発揮しにくく、結論がまとまりにくいという難点がある。

●いい質問ができるかが、信頼されるかの関門

仕事でもっとも重要なのは信頼関係だが、それにはお互いに相手を知る事が必要である。互いが自分について話す事を「自己開示」という。人間関係の親密さと自己開示は比例する。「この人だったら話してもいいな」と思わせるには、自分から積極的に話しかけてみることだ。質問をして、相手に関心をもっていることを示す。相手の話を聞きながら、少しずつバランスよく自己開示をする。

●人は頼られるとうれしくなる。うれしさのタネを多くまこう

あなたは、助けが必要になった時、すぐ人に頼めるタイプだろうか。それとも、できるだけ自分一人で解決したいと思うほうだろうか。一般に頼まれるということは、迷惑なことである。しかし、一方で、頼みごとをされるということは、相手から信頼され、信用されているというようにも感じる。ある実験で、面倒なことを頼まれたときのほうが、頼んだ人に対し好印象をもったという結果が出ている。「相手に好意をもったからこそ、頼みごとを引き受けたのだ」と自分の行動を正当化し、面倒な行動と心のバランスを保とうとするからである。

●カリスマはなぜ、「自信」だけで人を動かせるのだろう

人は、安定し固定された上下関係、指示命令系統をもつ事を望むものである。しかし、肩書きや権力だけでは人を動かしつづけることはできない。参考になるのが、カリスマといわれる人々のやり方である。カリスマ的と言われる人には、

(1) 自分に強い自信をもっている

(2) 強固な信念や思想をもち、主張し行動する

(3) 人々の上に立ちたいといった支配欲求が強い

(4) 人間的に魅力的な個性をもっている、といった共通点がみられる。

カリスマの語源は、ギリシャ語で「神の賜物」という意味なのであるが。

●相手があなたを軽んじるのは、あなたが自分を軽んじている時

自尊の感情の高い人は、他人からの評価をあまり気にしない。自尊の感情の低い人は、つねに他人の評価を気にし、他人よりも劣っているように感じる傾向が強い。ある実験で、初対面の相手としばらく会話したあとで、自分の性格を相手がどう評価したかを推測してもらった。その結果、自尊の感情の高い人は、相手による評価をほぼ正しく推測できた。それに対して、自尊の感情の低い人は、相手が抱いた評価よりもかなり低く推測していた。これは相手の視線や言葉などを否定的に解釈したためである。自分が自分をどう評価しているかで、相手との関係が決定されるともいえる。

うわべを繕うことだけで、相手の心を動かす事は出来ないであろう。根本から自分を変えることはさらに難しい。

以上

参考引用(情報工学)


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